朱金輝(Kyson)と申します。モバイルアプリ開発に13年携わり、iOS を専門としてきました。現在は、Flutter で構築した月間アクティブユーザー100万規模のアプリ「Sekai」で、モバイル開発のリードを務めています。

南京信息工程大学を卒業後、一貫してモバイル分野でキャリアを積み、Alibaba(Ele.me)や Bilibili といった企業で主力プロダクトの開発に携わってきました。フロントエンドからバックエンドまでをまたぐ機能をリードする機会が多かったため、バックエンドや Android の開発経験も併せ持っています。

私の強み

大規模なプロダクトを支える力。 これまで在籍した JD・Bilibili・Alibaba はいずれも上場企業で、数千万人規模のユーザーにサービスを提供しています。この規模では、小さな問題がすぐに大きな問題へと膨らみます。それを的確に解決するには、機能を作るだけでなく、iOS の内部構造・パフォーマンス・安定性への深い理解が欠かせません。こうした厳密さは、大規模で高トラフィックなシステムの中でこそ磨かれるものだと考えています。

チームを横断して物事を前に進める力。 大きな組織は、それぞれ独自の優先順位を持つ多くのチームで構成されています。良いアイデアを形にするには、相手のロードマップに載っていない取り組みに協力してもらう必要があり、それは「全員にとって意味のある形」で提案できて初めて実現します。権限ではなく信頼と説得によって人を動かす力は、私のキャリアで最も価値のある学びの一つです。

プロセスを大切にする姿勢。 大規模なプロジェクトは、開発とリリースの規律によって成否が決まります。私は、大きなコードベースを健全に保つためのツールや仕組みづくりに多くの力を注いできました。

主な実績

動画プレイヤー — Bilibili(国際事業)。 Bilibili の国際事業部(200名以上、うちモバイルエンジニア60名以上)でプレイヤーチームに所属し、東南アジア市場向けのアプリを開発していました。動画は非常に奥の深い領域で、一本のクリップが再生されるまでに「ダウンロード → デコード → 多重分離(demux)→ 描画」という工程をたどり、その各段階にキャッシュ・音ズレ・初回再生の高速化・途切れ(バッファリング)といった課題が潜んでいます。プレイヤーの中核は ijkplayer(Bilibili が ffmpeg をベースに開発したもの)でした。仕事の多くは状態管理 —— たとえば、視聴中に他のアプリへ切り替えても、次に開いたときに正確に同じ位置から再生を再開できるようにすること —— に加え、キャッシュ・シーク・倍速再生などの機能の実装でした。最適化の中心は再生の途切れを減らすことで、回線が良いときは積極的に先読みし、悪いときは解像度を下げるなど、ネットワーク状況に応じて挙動を変えていました。

配達員向け機能 — Ele.me(ゼロからの立ち上げ)。 Alibaba では Ele.me のローカルサービスチームで、配達員管理の仕組みをゼロから構築しました。フードデリバリーで最も難しいのは「最後の一区間」です。調査の結果、新人の配達員が団地に入ってから建物番号を探すのに多くの時間を取られており、しかも地図アプリがその部分をカバーしていないことが分かりました。そこで、蜂鳥(Fengniao)配達アプリに「団地内の建物ナビゲーション」を追加しました。単純に聞こえますが、肝心なのは細部でした —— 正確な建物データの入手、データを継続的に改善するための誤り報告機能、配達員が団地付近に到達したことを検知して初めて建物レベルのナビゲーションへズームインするアルゴリズム、そして建物データの描画は端末に負荷が大きいため、端末性能に応じて機能を出し分けること。このプロジェクトは私自身が起案し、フロントエンドとバックエンドの両チームと連携して完成させ、チームは表彰を受けました。このように、アイデアからリリースまでを一貫して自分の手で担う仕事を、私は何より楽しんでいます。

グローバルへの志向

私は以前から、国際化(グローバル展開)に強く惹かれてきました。中国国内のインターネットは、小さな町でもフードデリバリーが使えるほど成熟し、国内での成長余地は狭まりつつあります。それが、私がグローバル志向の仕事へ移っていった理由の一つでもあります。文化的な面でも仕事の面でも、異なる国の人々と関わることに大きな喜びを感じており、これからの数年で、できれば成熟した国際的なチームの中で、よりグローバルな方向へ進んでいきたいと考えています。

2023〜2025年:自分と向き合った期間

Bilibili を離れた後、約2年間は独立して活動していました。個人でクオンツ(量的取引)システムをデータ収集からバックテスト、自動売買までひと通り構築・運用し、またフリーランスとして iOS・Flutter の案件も請け負いました。同時に、かねてからもっと深めたかった基礎 —— アルゴリズム、オペレーティングシステム、言語の内部構造 —— をじっくり学び直しました。これは「自分が本当に大切にしているのは何か」を見つめ直す探求の時間であり、最終的に、私が最も情熱を注げるのは高性能なモバイルプロダクトをつくることだと再確認しました。それが、フルタイムのモバイル開発リードとして Sekai に戻るきっかけになりました。

日本語との縁

実は、私の大学での専攻は日本語でした。コンピュータはあくまで趣味だったのですが、その趣味がいつの間にか本業になっていきました。最初のインターンシップは、日本市場向けの地図アプリの開発でした。卒業のとき、日本語の道へ進むか、コンピュータの道へ進むかを選ぶことになり、当時インターネットが大きく伸びていたこともあって後者を選びました。それでも日本語はずっと自分の中に残っていて、いつかまた活かせる日が来ればと思っています。